2015.05.25

愛と暴力の戦後とその後 赤坂真理

愛と暴力の戦後とその後 (講談社現代新書)
赤坂 真理
講談社
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2012年に出版した『東京プリズン』は、毎日出版文化賞、司馬遼太郎賞、紫式部文学賞の3賞を受賞。そうそうたる受賞歴。いま作家赤坂真理が注目されるのも、無理なからぬことだ。

痛快な新書である。

ここでは戦後日本が問われている。しかし、赤坂真理の弁舌はそんな枠組みどこ吹く風で、堅苦しさを感じない。ティータイムのちょっと思ったんだけどさあ、なんて具合の気軽さなのだ。

例えば、サッカーを刻々と国境線を変えるヨーロッパのなせるわざと見破ったかと思えば、漫画『ドラえもん』に登場する空き地にバブル経済を重ね、松田優作を二度殺す。ともすれば形式張りがちなテーマの中を、自由に吹き抜ける彼女の思考が、とかく気持ちいい。加えて、自身の考えに潜む不安と怖れを、粘り強く見つめ直す勇気も光る。

借りものに頼らない言葉としなやかな思考。なんとも、羨ましいものである。

ちなみにこの本、夕陽に包まれる赤坂母子の姿で幕を閉じる。戦後という長い時間が、並んで歩く二人のあいだに、すっ、と吸い込まれていく。


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