2015.06.01

浮遊封館 門前典之

浮遊封館<ミステリー・リーグ>
門前典之
原書房
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はじめて読む作家である。そでを見れば、1997年に『死の命題』を自費刊行し、2001年に『建築屍材』で第11回鮎川哲也賞受賞、とある。自費出版から鮎川賞を受賞しプロデビュー。作家へのきっかけが、投稿でなく自費出版というのが珍しく、気骨のある男だ。

謎解きも大胆の一言に尽きる。なにしろ冒頭から、飛行機墜落現場からの百人規模の消失事件なのである。その後も立て続けに、様々な場所で、人間が消えていく。高鳴る胸を抑えつつ頁をめくれば、探偵たちがとある新興宗教に行き当たり、といった寸法だ。

ほら話のような良い意味で大味なオチは、この手のミステリ好きにとっては、たまらないだろう。大風呂敷のなかで、一見地味な雪上の串刺し死体では、テクニカルなハウダニットもやってのけ、読者サービスも満載。私は、この雪密室の謎に一番シビレた。

ともあれ、ミステリーの遊び心を思い出させてくれる、1冊である。


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