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2015.06.11

和菓子のアン 坂木司

和菓子のアン (光文社文庫)
坂木 司
光文社 (2012-10-11)
売り上げランキング: 55,929

坂木司の小説は品がいい。丁寧で、美しい。どの作品を読んでもそう思う。見渡せば、あくの強い同僚や一癖も二癖もある客ばかりなのだが、作品が荒れるようなことがない。そうした人たちをひっくるめて、品よく成り立ってしまうし、成り立たせてしまう。小説に上品な味わいがあるのである。坂木司の作品を読む喜びは、その味わいにこそあって、もちろん本作『和菓子のアン』も例外ではない。

高校を卒業したばかりの女の子が、主人公だ。ぼっちゃりした体型を少し気にしている。春から都心のデパートに入る和菓子屋で働きはじめた主人公のもとに、謎めいたお客が次々に来店する。

坂木司は本書を書くにあたってまず、「デパ地下」を舞台に決めたという。「デパ地下」が和菓子より先にあったというのは、意外であった。ミステリーと和菓子の間合いが、こんなにも自然であるからには、まず和菓子とミステリーという題が先にあって、とこう考えてしまいそうになる。ところが、和菓子は偶然の出会いだという。いいな、と思う。「ほんの気まぐれに」和菓子と出会ってしまえる作家。その不思議な力が、なんとも羨ましい。と同時に、偶然の出会いをひとつの作品に仕上げてしまう作家の馬力には、頭が下がりっぱなしだ。

こちらが願うまでもなく末永く愛される作家であろうが、それでも息長くあって欲しいと願う。


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