2016.08.04

世紀の発見 磯﨑憲一郎/河出文庫

世紀の発見 (河出文庫)
磯崎 憲一郎
河出書房新社 (2012-05-08)
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磯﨑憲一郎は、現代日本文學界屈指の作家である。そう、ぼくは信じている。

その魅力を、批評家の佐々木敦はこう解説する。

重要なことは、実のところ磯﨑憲一郎は、「いつもそれを考えている」ことによって「突然思いつく」という一行目と、まったく同じようにして、二行目以降も書き継いでいくのだということだ。それは、自分という存在を総動員して、自分を超える小説を創造していくこと、世界から彫像を切り出すようにして小説を発見していくということだ。その結果、見出され産み落とされた小説は、一行ごとが驚異と啓示の連続になる。

ひとつの行が、ひとつの小説としてある。続く一行は、まったく別の新しい小説として、偶然そこに存在する。その一行が書かれたのも、そう書かれたのも、そこにそう置かれたのも、すべて、たまたまだ。磯﨑憲一郎は、その偶然(啓示)に身を委ねることができる。これはもう、真似しようと思って真似できるものじゃあない。普通どこかで必然を求めてしまうのが人情だろうしさ。

一行ごとに、新しい小説が生まれては消えていく小説が面白くないわけないのであって、というより、まあ単純に好みなのだった。ちなみに装画も良い。

収録作「世紀の発見」「絵画」

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