2016.08.09

ウォーク・イン・クローゼット 綿矢りさ/講談社

ウォーク・イン・クローゼット
綿矢 りさ
講談社
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りさたん、やっぱりすごいぞ。「いなか、の、すとーかー」は、作家綿矢りさの覚悟がひしと伝わる傑作だ。

その覚悟は、小説の最後、主人公のある挨拶に示される。始まりの予感に包まれたその挨拶は、シンプルで力強くて麗しい、というよりカッコいい。マンガで言えば「あとは勇気だけだ」とか、「正義の道を歩む事こそ運命なんだ」とか、まあ、そういうのに近い感じ。

これはようするに、ある人の行為はいつも誰かに影響し影響されていて、人はそれをコントロールすることができないけれど、そのことを引き受けなければならないし、引き受けるところから何かが始まるんだ、そこから始めるんだ、っていう作家綿矢りさの決意表明でもある。

で、その覚悟を登場人物に「言わせる」んじゃなくて、「小説にした」というところに、綿矢りさの底力があるんだろうなあ、と思うのだ。

ちなみに、舞城王太郎もこういう小説を書く。この二人が似ているって思っていなかったから、意外で面白い。

ともかく、いいものを読みました。

もう一編の「ウォーク・イン・クローゼット」は、愛でも恋でもなく、たぶん「気になる」の話。好きだけれど、今回は相手が悪かったかな。

収録作「いなか、の、すとーかー」「ウォーク・イン・クローゼット」

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