2016.10.10

現代小説クロニクル 2010-2014 日本文藝家協会編/講談社文芸文庫

現代小説クロニクル 2010~2014 (講談社文芸文庫)

講談社
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贅沢な短編集である。以下メモ。

唯一、磯﨑憲一郎の作品だけ再読。なんど読んでも良いものはいい。「文学」の領域を押し広げているという意味で、円城塔も見逃せない。記号が小説へと姿を変える、むずむずとした感覚が心地いい。

小野正嗣は、はじめて読んだ。この人も変な小説を書いている。高村薫は、らしい文章。

朝吹真理子の作品がこの短編集で一番オーソドックスに思えた。

ジワリと友人を喰らう、村田沙耶香の作品に脱帽。一見何気ない物語、気づくと沼地のど真ん中、というのが彼女の作品の持ち味だと思う。松浦寿輝はお気に入りの小説家のひとり。まさに観念の産物であるところの「塔」の魅力が、主人公。ミステリーっぽい雰囲気もある。

津村記久子の作品には、味わいがある。味わいのある小説は、息が長い。たくさん書いて欲しい。

あらためて、鹿島田真希って「ヘタウマ」なんじゃないか、と思った。この人にしか書けない不思議な凄みがある。変だ。

高橋源一郎と瀬戸内寂聴。ふたりの作品は、速さを競うレースにあって「強い」と評されるような、そんな感じ。特に、高橋源一郎には驚かされた。やっぱりこの人は作家だ。ほとんど完璧な、短編。

ちなみに、一番の収穫は小山田浩子だった。ちゃんと読もう。

収録作 円城塔「考速」 磯﨑憲一郎「絵画」 村田沙耶香「街を食べる」 小野正嗣「みのる、一日」 高橋源一郎「さよならクリストファー・ロビン」 高村薫「田舎教師の独白」 松浦寿輝「塔」 津村記久子「うどん屋のジェンダー、またはコルネさん」 朝吹真理子「きことわ」 鹿島田真希「波打ち際まで」 小山田浩子「うらぎゅう」 瀬戸内寂聴「夫を買った女/恋文の値段」

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