2016.12.22

サブカル・スーパースター鬱伝 吉田豪/徳間書店

サブカル・スーパースター鬱伝
吉田 豪
徳間書店
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吉田豪の肩書のひとつに、プロインタビュアーというものがある。プロインタビュアー、なんという響きか。これはもう「発見」だと思う。いつ頃からあったのか、誰が「発見」したのかは知らないけれど、とにかく見つけた人はエラい。

おそらく昔からプロインタビュアーと呼ばれてよいような人はいた。でもそれはプロインタビュアーではなくて、それに類する人にすぎず、こうして名付けられるまで、やっぱりプロインタビュアーは存在しなかったのだ、と思う。この職業、吉田豪が言い出しっぺなのだろうか。名乗ったもの勝ちなのかもしれない。

さて、本書は「サブカルは40超えると鬱になる」という仮説を確認すべく、吉田豪がサブカルな中年男子に話を聴く、といった内容である。

リリー・フランキー、大槻ケンヂ、みうらじゅん、杉作J太郎、唐沢俊一などなど、おなじみな人にはおなじみの顔が並ぶのだけれど、彼らが「サブカル鬱」という紐でくくられているのは、ちょっと新鮮かもしれない。

サブカルは何かと忙しい。お酒を飲んだり、夜更かししたり。物欲を満たすためには足も使う。せわしなく動き続けることこそサブカルの本懐。体力が肝要なのである。でも、40歳を越えようかというその時、その忙しさに身体がついていかなくなる。ここにいたって、サブカル者は憂鬱になる。本書に登場する誰もがそのことを口にする。体力が落ちる、と。サブカル鬱は、体力の低下、それに尽きる。

どの話も元気のなさが良い味を出している。わたしのように、お疲れのおじさんに興味のある人は手にしても良いのでは。

最後に、わたしの好きなやりとりを挙げておきたい。みうらじゅんが「バカな仕事」を求められる苦労を語る場面である。ここ何度読んでも笑ってしまう。

【みうら】 寒い北海道で一生懸命頑張ってきた感じですよ(笑)。ホントはバカをやり続けるなんて思ってもみなかったし、自分はバカなことをやってる意識は一切なかったけども、世間的評価がそうだったから。そういうことをやっているときって、やっぱり「……俺、大丈夫かな?」と思いますよね。憧れの人がそういう人じゃなかったもんで。

【吉田】 ボブ・ディランはそんなことやらないし(笑)。

【みうら】 ボブ・ディランはしないっていつも思いますね。「どんな気がする?」ってディランに問われているのは、いつもそこですからね。

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