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2017.05.03

太陽の坐る場所 辻村深月/文春文庫

太陽の坐る場所 (文春文庫)
文藝春秋 (2012-09-20)
売り上げランキング: 30,704

旧友の集まるクラス会で一番の話題といえば、そこにいない人間についてなわけで、その人が今や押しも押されもせぬ人気女優ならなおのこと、卒業以来一度も顔を出したことのない彼女をどうやって誘おうか、思い出話以上に膨らむ期待と戸惑いが、その場を盛り上げる。でも、懐かしさだけが彼女に会いたい理由なんだろうか? みんな本当は誰に会いたいんだろう。

『太陽の坐る場所』は、仲の良かったグループ5人の今と昔が、5章立てでそれぞれ語られる青春ミステリーである。女優となった不在の太陽キョウコをめぐる、ひとつながりのミステリーとして読むこともできるだろうし、各章をそれぞれ独立した5人の物語として楽しむこともできる。それらは、夢を追い続ける苦しさであり、秘められた友情であり、忘れられない輝きであり、私を生きる決意であり、ちいさな恋の物語だったりする。読み終えたらきっと、お気に入りの章や登場人物が見つかるんじゃないかと思う。

私は5章を押す(2章もいいから悩むんだけれど)。最後の場面で、ある人からある人へ、小さな紙が手渡される。その瞬間、わっと光が差す。柔らかいその光に、とても素直な美しさが感じられるのだ。小説のモチーフである<アマテラスの岩戸隠れ>が、一番ハマっている場面だとも思う。

たぶん光は過去からやってきた。この光が、明るい未来を約束するものなのかどうか、それは分からない。もしかしたら、この先、主人公の人生は何も変わらないのかもしれない。でも、確かにその時その場に光は差し、誰にも予想することのできない未来が開けたのである。その木漏れ日のような光は、普遍的で、それぞれ違った形をとるにせよ、ここに登場する5人に等しく降りそそぐ。

その未来への開かれはやっぱり青春だなあ、と思うのである。

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