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2017.12.02

みすず書房旧社屋 (SERIE BIBLIOTHECA) 潮田登久子/幻戯書房

みすず書房旧社屋 (SERIE BIBLIOTHECA)
潮田登久子
幻戯書房
売り上げランキング: 584,865

みすず書房の本は美しい。その落ち着いた佇まいは、他の追随を許さない。だから驚いた。見よ、この旧社屋を。いや、表紙だけでは分からない。ページをめくるべきだ。是非。

本書は、1996年に解体されたみすず書房旧社屋の写真集である。

ページをめくった先にあるのは、昭和の木造家屋である。とてもオンボロである。近代的なビルに囲まれて、ポツリ、時代に取り残されている。これが会社だとは、にわかに信じがたい。

中もまたすごい。そこかしこに暗闇が落ち、軋みを鳴らすであろう床を歩けば、調理を拒む給湯室、底の抜けた物干し台。デスクはどれも、隅にかたまり、押し流され流れ着いた流木のように滞留している。そして、紙、紙、紙。積み上げられた、本、本、本。もちろん、出版された本と作業場とのイメージが一致していなければならないなんてことはないが、初めてこの社屋を目にする人は、まず驚くだろう。

ところが、寂しげな室内に、ひとり、またひとりと働く人々の姿が現れはじめると、イメージが一変する。オンボロ家屋も、まるでそれが必然であったかのように生き生きと、熱っぽく、調和し始める。この本の魅力はここからだ。

共に時を重ねた社屋。誰もが自分の持ち場で、少し照れたように笑っている。矜持と戯れ。会社と働く人の最高のポートレイトである。

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